「民俗学からみえてくる日本人のお墓の本当の話」を開催します
講師の小畠先生より、講演会のご回答を頂きましたので報告致します。
なおホームページ掲載可とご記入いただいた方のみの掲載となりますのでご了承下さい。
掲載不可とご記入された方につきましては、ご希望の回答方法にてご報告致します。
Q=五輪塔はよく祟るが、その説明をして欲しい。
A=私には質問者がおっしゃる「よく祟る」という具体的な内容が全く分かりません。
もし仮に、何か「祟ったこと」があったとして、それが五輪塔によって祟ったという証拠はありますか?つまり五輪塔が「原因」で、その「結果」として「祟たたられた」という「事実」があるなら(私はそんなことは絶対に起こり得ないと確信していますが)、「五輪塔」と「祟りの事実」との間に、紛れもない明確な「因果関係が成り立つ」と言い切れますか?おそらく(いや、絶対に)不可能です。そんな証明があるなら、私の方が伺いたいくらいです。
五輪塔という仏塔は日本で初めて造形された石塔ですが、五輪塔は二人の仏様そのものとして意味づけされたものです。そしてその文献が残っています。ですから、仏様である五輪塔が人に祟るわけがありません。その点は、中部石工組合の方から、私が書いた『五輪塔ってどんな墓』という小冊子を貰って読んでください。祟るどころかむしろ、確実に、亡き人を成仏させ、極楽浄土へ往生させくれる有り難い石塔が五輪塔です。
Q=家族同然のペットを一緒に納骨してはいけないのはなぜか・・?
A=ペットと一緒にお墓に入る・・という考えは、最近かなり多くなっているようです。
法律にはペットのお骨を人間のお墓に埋葬してはいけない、という条項はありませんので、自由です。
ただ現在のそのペットと共に暮らしている人はよいのですが、何代か後の人がお墓の中に動物のお骨があるのを見て、どう感じるのかが問題です。その人たちが「気味が悪い」と感じるかもしれない、と思われるようなら、やめておいた方が賢明です。
その場合はお庭にペットのお墓を建てて、毎日声をかけてあげてください。人間のお墓は法律上墓地や霊園以外の(お庭などの)場所には作れませんが、ペットなら大丈夫です。動物専用のペット霊園なども最近はできています。
Q=亡くなった家内の義母はわがまま放題なのでお墓に入れたくないが・・?
A=今、急いで結論を出さずに、もう少し時間をおいて考えてください。
やがて何年かして、もしお義母さんの死期が近づくようなことがあったら、義弟さんやお義母さんの気持ちに変化が出るかもしれません。人間誰しも死を前にすると気持ちに大きな変化が生まれますから、そのときまで待ってください。
いずれにしても、お義母さんのことは今の状態のままでよいわけがありませんから、こうした人間の感情の複雑な問題は「時期」が肝心と思います。おつらいでしょうが、今しばらくこのままで様子を見てください。
Q=講演を聴いて、喪中の人が村祭りに参加してはいけないのは間違いと感じたが・・?
A=民俗学では「ハレ」と「ケ」の日(行事の日)が決まっていて、村祭りや正月などは「ハレの行事」で,この日は喪中の人は身を慎んで参加してはいけないことになっています。
例えば、年賀状の代わりに「喪中はがき」を出すのも同じ意味があります。その代わり各地のお祭りの中には、わざわざ喪中の家にお神輿を担いでいって、供養の挨拶をするところもあります(博多山笠など)。柳田国男先生の『先祖の話』にもそのような内容が書いてあります。これは日本人の伝統的な智慧といえます。
服喪期間と考えて、表向きには祭などハレの行事には参加されない方がよいと思いますし、主催者やご近所の方から「参加しないように」とアドバイスがあるかと思います。
以上が小畠先生からのご回答です。
取り急ぎ、ご報告致します。今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。